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-9. なぜ蕎麦屋になったのか
~手打ちそばを初めて食べた時の衝撃~

もともとお蕎麦がお好きだったんですか?

富山県って米文化の土地で、蕎麦の文化がなかったんですね。
で、25歳の時に手打ち蕎麦というものを初めて食べたんです。
いや、美味かったです…感動しました。
で、その時、蕎麦を打ってた人は60歳だったんですね。
で、ちょっと待てよって。
いま25歳から初めて60歳まで35年間。
まじめに蕎麦と向き合えばこの人みたいに人を感動させる蕎麦が打てるんじゃないか?と。
その時に蕎麦屋やろうと決心したんです。

衝撃的な出会いとひらめきですね。

接客業って基本的には男性が働ける寿命が短いんです。
おじいちゃんになって接客、ってなかなかない。
飲食業から離れるか厨房の中にいるかどっちかしかない。
で、25歳から修行しても、日本料理とかフレンチとか、
それまで修行してる人がいっぱいいるんですね。
でも、蕎麦、うどん、ラーメンって修業期間が短くて済むんですよ。
1年くらい修業して脱サラしてやる人もいるくらいで。
で、ラーメン屋もいいけど、ラーメンって25歳と55歳では食の好みが変わるじゃないですか。
若い時は肉だ、脂だ、最高!って感じだけど、
55歳になるとシンプルな醤油ラーメン最高!ってなるでしょ?
賄いも毎日毎食ラーメン…体こわしますよね(笑)
じゃあうどんはどうだ、と。
うどんの基本はコシなんですね。そうなると逆に、機械打ちも手打ちもそんなに差が出ない。

でも蕎麦はぜんぶちがう。機械打ちと手打ち。
粉の挽き方も出し汁もちがう。何なら毎日条件がちがう。
蕎麦を打つ側になって初めて思ったのは、僕ら機械じゃないんで毎日同じようには打てないんです。
でもお客様からおカネをもらうわけだから、それに見合うものは出さなきゃいけない。
最初はほんとヘタクソで、3年目くらいまでは自分で打っててもあまりおいしくなかったんですね。
どうやったらお客さんを満足させられるか。
どうやったら自分が満足してお客さんも満足できる蕎麦が打てるか。
毎日考えてました。
今もそうです。寝る時も考えてます。

-10. 「口岩」の料理作法

このお店はお蕎麦だけじゃないですものね。

うちは完全予約制で料理もおまかせが基本なんですけど、
出すものはだいたい決まってるんですね。
でも「ここにもう1品何か出したいな」とかいうことがあるんです。
季節ごとのスペシャリティとかは常に考えてますね。
昨日もそうだったんですが、お一人だけ天ぷらをお食べにならないお客様がいらしたので、
じゃあ蕎麦をもう1品出したいな、と。
で、季節がら、北海道のウニを使ってウニそばを出そうかと。
でも、ウニもいろんなウニを食べてらっしゃる方だから中途半端なウニじゃだめだ。
そうなるとウニ探しからですよ(笑)
次に、じゃあそのウニに合う蕎麦はどんな蕎麦か。
太さは?ちょっとおつゆ変えようか?とか。
そういうことを予約を受けた時からずっと考えてて、それが正しかったかどうかはわからないけど、
自分がおいしいって思うものが正しい。
後から後悔するのが好きじゃないので、思いつきと思われるかもしれないけど、
その時その時で最善の道を選んでる。
職人さんは失敗したらやり直すとかあるかもしれないけど、食事ってその時、その場の一回限り。
しかもうちはライブでやってるのでミスが許されない。

そこにいる瞬間すべてが勝負、ですね…

まあでも、ミスしたっていいんですよ。
それも含めてお店。
失敗したら、すみません失敗しました、って言えるのがいいんです。
毎日蕎麦を打ってても、気温も湿度もちがうので、水が入る量が10cc単位で変わるんです。
あれ、なんで今日はやわらかいんだろう?とか。
それがあるから飽きないです。まったく飽きない。
仕事って楽しみながらやった方がいいんですよね。
修業時代は苦しんだ方がいいと思いますけど。

-11. 「口岩」の「伝統と革新」

蕎麦打ちみたいな伝統的な技法を学ぶのは苦しいものですか?

やっぱり基本が体にしみこんで自分の土台が作られるまでは、ある程度苦しんだ方がいいと思います。
それが身についたら自分なりの工夫とかで創作の世界に入っていく。

R18のテーマが「伝統と革新」なんですけど、口岩さんとしては、
伝統的なものを受け継いだ後に自分なりの創作というか革新が築き上げられて、
これからはここをこう変えて、これが主流になるようにしてやろう、
みたいなのってありますか?

蕎麦ってすごい歴史があって江戸時代から続いているんですね。
麺切りという技法も、先人たちがああでもないこうでもないってやってきて、
今はもう完成されてるんです。
そこを変えたいとは思わないですが、「蕎麦屋」として見ると、
うちのようなこういうスタイルはまずなかった。
職人として当たり前のことをやってるつもりですけど、
蕎麦屋としては、革新的なんじゃないですかね。
僕としては蕎麦のことを知ってもらいたいし、僕のこともお店のことも知ってもらいたいから、
お客さんとたくさん話すし、お客さんがハッピーになってくれればなと思うんです。

-12. 蕎麦のフィールド・オブ・ドリーム

口岩さんのインスタを拝見したら蕎麦畑の写真が載ってましたね?

お口に入るすべのものにこだわるのが飲食店であるべきと僕は思うんですね。
で、蕎麦って蕎麦粉と水なんですよ。
行きつく先として、蕎麦の実も育てたいと思っています。
一般的に蕎麦は豊かな土壌では育ちにくいって言われてる。
でも、果たしてそれって本当ですか?と。
以前、ホリエモンさん(実業家 堀江貴文氏)と話してて、うちは群馬県赤城山の蕎麦を使ってます。
やっぱりおいしいから。って言ったら「なんで富山で作んないの?」って。
富山は土壌が豊かで蕎麦には不向きなんですって言ったら、
「自分で作ってみたの?」って。「なんで作ったことないのにそんなこと言えんの?」って。
なるほど。たしかに。
それで桝田さんに「蕎麦を植えたい。そこから作らないとダメです。」って相談したんです。
インスタに載せてたのはその蕎麦畑の写真ですね。

何年後くらいにできそうなんですか?

それはもう5年10年のロングスパンで考えています。
「蕎麦屋は農業でもある」って思ってるんですね。
なので何かしらの形で蕎麦栽培にはこれからずっと携わっていきたい。
3年くらいは種を増やして、この土壌にはどの蕎麦が適してるかって。
3種類の種をまこうとしているんですよ。
ふだん使ってる蕎麦と富山の在来の蕎麦と、長野県で栽培してる「しなの1号」。
その中で適したものを育てていこうと。
3年くらいはデータ集めになるんじゃないかなって桝田さんに言ったら
「ダメだよ!結果はすぐ出せ!」って言うんですけど(笑)

-13. おいしい蕎麦を作るためのチャレンジ

で、蕎麦の粉に関してはそんな取り組みを始めてるんですが、
他にもいくつかチャレンジをしようと思ってて。
さっきも言いましたけど、料理ってすべては原料と水の世界なんですよね。
で、原料は日本ではどこにいてもいいものが手に入るんです。
だけど水はそうはいかない。
いくら東京の蕎麦がおいしいと言ったって、水は地方の方がおいしいんです。
だけど職人のスキルからすると東京の方が格段上なんです。
水がおいしくないのをスキルで補ってる。
東京の方が舌の肥えた客が多いし、蕎麦屋も多いからそこで競争が起こる。
蕎麦屋が多いと横のつながりができて情報共有もできる。スキルも上がっていく。
だったら僕がスキルを上げて東京に負けない蕎麦を打とう、と。
うちはおいしい水を手に入れている。
それって満寿泉のお酒造りと同じ仕組みなんですよね。

ああ、なるほどそうですね。お米と水だ。

そしていずれは自分たちの手で作った蕎麦を手に入れたい。
いつになるかわからないですけど。
あとは自分のスキルを上げていく。
そのスキルも、自分がおいしいと思うものが打てるスキルです。
そのためにはもっと蕎麦のことを知らなきゃいけないし、挽き方も、
今は電動の石臼なんですけど、今週手挽きの石臼が来るんです。
関東の方だとおいしい蕎麦屋は手挽きだったりするんで、
僕の中では電動と手挽きの違いがよくわかってないんです。
電動の方が楽だし均一に挽けるんだけど、手挽きって1時間その前で挽いてなきゃいけない。
でも、みんな手挽きの蕎麦はおいしいおいしいって言う。
「ほんとかよ?」って。
でも試してないからわからない。
「じゃあ試そう!」と。
この1年そんなことをやってました。

-14. エピローグ
~おいしいお蕎麦をいただきながら~

今日はおもしろいお話やいいお話をたくさん聞かせていただいて、
さすが劇場の立役者さんだなと感心しています(笑)
で、ご相談なんですが、私たちは、R18に乗ると、こんな楽しい体験ができる、
こんなに貴重な時間が過ごせる、こんな素敵なカスタムができるっていうことを、
この企画で作っていきたいと思ってるんですけど、
口岩さんとR18で何かコラボレーションできないですかね?

そうですね…何がいいかな…
ちょっと考える間、お蕎麦食べていきませんか?

え!いいんですか!?
さっきからおいしいお蕎麦の話を伺ってて、食べてみたいなあ…って思ってたんですけど…
顔に出ちゃったかしら(笑)

R18に乗ってこられたわけだから5倍おいしく感じるんですよね(笑)

R18に乗って岩瀬に来て、美しい工芸品を拝見して、楽しいお話を聞けて、おいしいお蕎麦を食べる…
それだけですごい贅沢な体験なんですよね。
この仕事やっててよかったー!

その感動をぜひR18のオーナーの方にも伝えてあげてください(笑)

R18岩瀬ツーリングの会はぜひ実現したいです!

あなたもRelation18にご参加ください。

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