いちばん最初のお店って定食屋みたいなことやってたんです。
蕎麦と天丼で960円。
朝日町というここから近くなんですけど、国道沿いにあっていつも2時間待ちのお店でした。

だけど、続けてると問題点がいっぱい出てくる。
仕込みとか人手とか…。
1日20時間くらい働いてたんで寝る時間がほぼなかった。
このやり方やってたら早死にするぞ、やり方を変えないと僕も女将も共倒れになるぞって…。
そこですぱっとやめたんです。

今は、僕と女将で回せるキャパで席数13席。
目が行き届く範囲のお店です。

知り合ったのは2018年。
常連さんに銀行の頭取の方がいらして、地元のイベントの時にあいさつに行ったら、
そこに桝田さんがいたんです。
で、会った瞬間、「あー、キミが口岩くんかー」って、
初対面なのに知っててくださってたんですが、ちょっと唐突な感じでこられたんで、
こっちもてんぱっちゃって、「朝日町で蕎麦屋をやってる口岩です！」って、
ずっと桝田さんの目を見ながら言ったんです(笑)

お酒のイベントだったんで　僕、飲みすぎて記憶なくしちゃってたんですけど、
後で知り合いに聞いたら、「桝田さんと鼻突き合わせてがん飛ばしながら話してたぞ」って(笑)
あー、やらかした…こりゃ富山湾に沈められるな…みたいな(笑)
桝田さんの人生の中で、ここまでぶっ飛んでる人はいなかったんだと思います。
おもしろいやつだなって。こんな若造がおれに対して…

で、その後に呼ばれたのがその翌年の1月2日。
満寿泉の新年会だったんですね。
蕎麦屋ってたいてい大みそかまで仕事してるんですよ。

だから正月は3日まで寝てるんです。
そしたら電話がかかってきた。
「口岩、何しとんの？」って(笑)
「何ですか？」って聞いたら新年会だと。「何で来んの？」って。
「いや、知りませんし呼ばれてません！」って(笑)

「とりあえず着の身着のままでいいから来なよ」って。
「新年会なら風呂入ってから行きます」って言ったら、
「風呂入んなくていいからすぐ来なよ」って(笑)
で、わざわざ出かけると、もうみんな泥酔してる…
「おお口岩！よく来た！まず飲め！」って。
正月の新年会って、とっておきのいい酒が出るんですね。
これがまた旨いんですよ。
で、1時間後にはまた記憶がない(笑)

ちょっとここでは言えないことをやらかしまして…

で、実は2020年にまた…

岩瀬に「御料理ふじ居」っていう2つ星の日本料理さんがあるんですけど、
そこでまた地元のイベントがあって、「じゃあおれ、蕎麦ふるまうわ！」って
200人前くらい持ってったんですけど…

で、これもまた後から知ってる人に聞いたんですけど、
「桝田さんに『わかりましたよ！じゃあ岩瀬に来ますよ！』って怒鳴ってたよ」って(笑)
ぜんぜん記憶ないんですけど(笑)

で、後日、桝田さんに会ったら「口岩、岩瀬に来るんだよね」って。
「社長、すいません、ぜんぜん記憶にないんですけど…」って言ったら、
「お前な、酒の席の言葉がいちばん大事なんだぞ！」って(笑)
で、「お店のためにここを買っといたぞ」と。
その時は外観しか見れてなくて「小さくていい店ですね」って。

まだ僕はこっちに来る決断はしてないんです。
でもどんどん話は進んでいく(笑)
経済同友会とか富山のトップが集まる会合がちょこちょこあるんですけど、
そこで桝田さんが「今度、口岩が岩瀬に来るからさ！」とか、
地元の偉い人たちにばんばん言ってるらしいんですね。
そこにうちの常連さんもいて、「口岩、岩瀬に行くんだって？」って。
「行きませんよ！桝田さんが言ってるだけですよ！」って言ってたんですけど、
どんどん話が富山の街中で一般の方にも広がっていって(笑)

この街って世界とつながってるんですね。
日本で世界とつながってる場所って東京、大阪とか、大都市じゃないですか。
地方都市ではそんな所はほぼない。
でも、それを可能にしてるのが桝田さんなんです。
それを知った時に、世界を相手にできるっていうビジョンが広がっちゃった。
蕎麦も日本酒も日本の伝統文化でしょ？
それを世界の多くの人に知ってもらいたいっていう気持ちが芽生えた。
それまでは富山の片田舎でやってたんで、マーケットは広くても国内だなと。
外国の人なんて年に3、4人しか来ないし、来たらビビッて2歩くらい下がるみたいな(笑)
でも桝田さんの構想を知ってしまって考えが1ステージ上がっちゃった。

1回だけ奥様と来られたことがあって、出し巻き玉子を食べて
「おう口岩、合格！」って言われたんです(笑)
いきなり来て「合格！」って何だよって(笑)

桝田さんもそうですし、僕もそうなんです。
飲食業って人対人なんですよね。
そう考えた時に、こういう対面式の、カウンターだけのお店を作りたいって
桝田さんに要望を出したら、ある日の昼の12時、
営業時間中いちばん忙しい時間に突然電話かかってきて、
何事かと思うじゃないですか。
「口岩さー、カウンターの木なんだけど80センチくらいの幅でいいかなあ」って(笑)
そんなの突然言われても想像できないじゃないですか。
だから、「お任せします！」って言ったら
「わかった！了解ー！」って(笑)
で、7メートルの1枚板のテーブルになっちゃった(笑)

さっきもそうじゃないですか。
突然、高校生連れてくるし(笑)
彼にとっては岩瀬という街が遊び場なんですね。
岩瀬から外に出なくてもこの街の中でおもしろいことがいろいろできる。
それがあって僕らはこの街を「マスダーランド」って呼んでるんです(笑)
スペインにサンセバスチャンっていう、バルがいっぱい立ち並ぶ街があるんですけど、
そこに来る人って、バルで1品だけ名物を食べて、また次の店に行くんですね。
食べ歩きの街。
それになぞらえて「イワセバスチャン」とも呼んでる(笑)
で、桝田さんのところに大事なお客さんが来たときは、
「口岩！蕎麦１枚でぎゃふんと言わせてくれ！」って連絡が来る(笑)
で、蕎麦1枚食べて「じゃあ次行きましょう！」って、
次は三浦さんのところ（ねんじり亭　EPISODE13登場予定）とかに連れていくんです。

すごい振り回されますけどね(笑)
思いつきで行動してますから…

でもそういうひらめき、インスピレーションってすごく大事なんですよね。

そこは何も変わらないです。
おいしいものを出す。それだけです。

まず、かっこいいな！って思いました。
あと、エンジンの大きさ。
1800ccでしょ？コンパクトカーよりでかい(笑)
そして、エンジンの鼓動。これは夢中になるなって。
自分の思った通りに動けるのもいいなって。

へー！そうなんですね！

だからご飯もおいしく感じるんでしょうね。

岩瀬には素敵なものがたくさんあるんですけど、宿泊施設がないんですよね…

へー、そうなんですね(笑)
そういえば、メーターを見ると200キロまでしかないんですね。
オートバイって300キロくらい出せるイメージですけど。

興味がないわけじゃないんですけど、休みの日はかみさんといっしょに過ごすんですよね。
仕事でもずっと一緒なんですけどね(笑)
オフの日は何していいかわからないんです。

これは蕎麦打ちで(笑)
蕎麦屋こけたらマンションの一室借りて、マダム相手に蕎麦打ち教室やろうかなって(笑)
蕎麦打ちでエクササイズにもなって、その後、自分で打った蕎麦を食べるの(笑)

僕は毎日蕎麦が食べたくて、そして仕事終わりに日本酒が飲みたくて、
ここで蕎麦屋やってるんです(笑)